10回を超え次の10年の活動にむけての取り組みが始まりました。
木匠塾、木の匠の塾ということで参加学生は木のものづくりへの想いを新たにしたようです。
基 本的には本年も村内見学会、林業体験、プレ木匠(技術講習)、サマースクール(製作ワークショップ)の流れで実施されましたが、制作においては活動拠点で ある木匠館と4年前からの白川渡地区キャンプ場のマスタープランである木匠ベルト(多目的デッキ)に絞る結果に至りました。
大阪芸術大学+滋賀県立大学+近畿大学+奈良女子大学
2005年度からの継続制作、マスタープラン木匠ベルト。
今期で4つ目のデッキがキャンプ場に並ぶことになりました。
こ れは地元の要望よりも参加者側の木匠塾として地元の木材でつくり続ける想い維持と発展の結集ではないかと思います。もともと木匠ベルトが設置されるライン はテント設営スペースのある内側とその周囲はそれぞれ村有地と国有地に分断されているらしく、ちょうど既存の植栽とともに境界線をなぞる形で設置されてお り境界線を可視化したともいえるのではないでしょうか。
今期の多目的デッキは小さな門のような構造体をくぐることである種の遊具としても活用できるような多様性が感じられ、かつ安全面にも配慮した結果の形体になったと思われます。
摂南大学
木匠館裏にある既存の屋根付きスペースの改修を行いました。
既存の解体作業から段取り良く分担作業を進めました。
建物の裏地であり暗かったスペースが新たな地元の磨き丸太を活用した柱と余材の垂木、透明の波板を用いた屋根材により明るい場所に生まれ変わりました。
課題としては、風呂のボイラーや換気扇などの既存設備を調査の段階で寸法や位置を詳細に把握して設計施工にも反映できれば垂木や屋根波板接合部と既存壁取り合いなどが綺麗に納まったのではないかと思われます。
大阪工業大学+大阪市立大学
既存の使用されなくなった飯合炊爨スペースを、間伐した丸太を置くスペースとして新たに屋根をかけるスペースとしました。
既存の鉄筋コンクリートの腰壁内の鉄筋位置をセンサーで確かめ、丸太の片持梁をその腰壁上部から張り出す構成としました。
最小減の木材でどのように軒屋根をかえるか検討した結果、ダイナミックなバタフライ屋根となりました。
木匠館の敷地内で木匠塾として木材のストックが可視化されることで活動と村の木材のアピールにも一役買うのではないかと思われます。
前出の軒改修と並んで倉庫にしては清々しいスペースとなりました。
参加学生たちは最終日に制作物に関して教員や地元の方々から講評とコメントを頂きます。
これまで造ってきたものをふりかえる貴重な時間です。
ああすればよかった、これでよかったなど反省と実証など客観的に活動をふりかえることでまたこれからの生活や次年度へむけてそれぞれの場所で経験が活かされることと思われます。
退村式では、今年も代表学生はじめほとんどの参加学生が感激の涙をみせてくれました。
この瞬間に遭遇するためにやってきてよかったと感じます。参加者もサポートしてくださっている方々も同じ気持ちになれるのかもしれません。
次へ向けてまた新たに取り組む決意の時でもあります。
川上村の森林は参加者たちが実践し続けてきている以上に永い歴史を歩んでいるのですから。